今回は,ゼロ除算 $100/0=0$, $0/0=0$ の意義を纏める形で外観しておこう:
1)西暦628年インドでゼロが記録されて以来ゼロで割るの問題に簡明で,決定的な解 $1/0$, $0/0=0$ をもたらしたこと。
2)ゼロ除算の導入で,四則演算加減乗除においてゼロでは割れないの例外から,例外なく四則演算が可能であるという美しい構造が確立されたこと。
3)2千年以上前にユークリッドによって確立した,平面の概念に対して,おおよそ200年前に非ユークリッド幾何学が出現し,特に楕円型非ユークリッド幾何学ではユークリッド平面に対して,無限遠点の概念がうまれ,特に立体射影で,原点上に球をおけば,原点ゼロが南極に,無限遠点が北極に対応する点として複素解析学では100年以上も定説とされてきた(注参照)。それが,無限遠点は数では,無限ではなくて,実はゼロが対応するという驚嘆すべき世界観をもたらした。
4)ゼロ除算はニュートンの万有引力の法則における,2点間の距離がゼロの場合における新しい解釈,独楽(コマ)の中心における角速度の不連続性の解釈,衝突などの不連続性を説明する数学になっている。ゼロ除算はアインシュタインの理論でも重要な問題になっていたとされている。数多く存在する物理法則を記述する方程式にゼロ除算が現れているが,それらに新解釈を与える道が拓かれた。
5)複素解析学では,1次変換の美しい性質が,ゼロ除算の導入によって,任意の1次変換は全複素平面を全複素平面に1対1ontoに写すという美しい性質に変わるが,極である1点において不連続性が現れ,ゼロ除算は,無限を数から排除する数学になっている。
6)ゼロ除算は,不可能であるという立場であったから,ゼロで割る事を本質的に考えてこなかったので,ゼロ除算で,分母がゼロである場合も考えるという,未知の新世界,研究課題が出現した。
7)複素解析学への影響は未知の分野で,専門家の分野になるが,解析関数の孤立特異点での性質について新しいことが導かれる。典型的な定理は,どんな解析関数の孤立特異点でも,解析関数は孤立特異点で,有限な確定値をとるである。佐藤の超関数の理論などへの応用がある。
8)特異積分におけるアダマールの有限部分や,コーシーの主値積分は,弾性体やクラック,破壊理論など広い世界で,自然現象を記述するのに用いられている。面白いのは積分が,もともと有限部分と発散部分に分けられ,極限は無限たす,有限量の形になっていて,積分は実は,普通の積分ではなく,そこに現れる有限量を便宜的に表わしている。ところが,その有限量が実は,ゼロ除算にいう,解析関数の孤立特異点での確定値に成っていること。いわゆる,主値に対する解釈を与えている。これはゼロ除算の結果が,広く,自然現象を記述していることを示している。
9)中学生や高校生にも十分理解できる基本的な結果をもたらした:
基本的な関数 $y = 1/x$ のグラフは,原点でゼロである;
すなわち,$1/0=0$ である。
10)既に述べてきたように道脇方式はゼロ除算の結果 $100/0=0$, $0/0=0$ および分数の定義,割り算の定義に,小学生でも理解できる新しい概念を与えている。多くの教科書,学術書を変更させる大きな影響を与える。
11)ゼロ除算が可能であるか否かの議論について:
現在インターネット上の情報でも世間でも,ゼロ除算は不可能であるとの情報が多い。それは,割り算は掛け算の逆であるという,前提に議論しているからである。それは,そのような立場では,勿論正しいことである。出来ないという議論では,できないから,更には考えられず,その議論は,不可能のゆえに終わりになってしまう―もはや展開の道は閉ざされている。しかるに,ゼロ除算が可能であるとの考え方は,それでは,どのような理論が展開できるのかの未知の分野が望めて,大いに期待できる世界が拓かれる。
12)ゼロ除算は,数学ばかりではなく,世界観や文化に大きな影響を与える。
次を参照:
再生核研究所声明166(2014.6.20)ゼロで割る(ゼロ除算)から学ぶ世界観
再生核研究所声明188(2014.12.16)ゼロで割る(ゼロ除算)から観えてきた世界
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